2022年5月7日
公演から2ヶ月が経過し、新たな企画が始動している中、今回は改めて Orchestra Mµsicart Project 2.0+ Bon Voyage! の完成までの道のり、そして Orchestra Mµsicart の復活と今後の活動についてを芸術監督に伺いました。
改めて、Orchestra Mµsicart Project 2.0+ Bon Voyage!(以降 Bon Voyage!)お疲れ様でした。
ーありがとうございます。
早速ですが、この Bon Voyage! という企画について、そして企画立ち上げの経緯を教えていただいてもよろしいでしょうか。
ーこの Bon Voyage! という企画は、ディズニー音楽と新しい物語の融合を目指したコンサートです。『リトル・マーメイド』や『アラジン』といった名作や、『塔の上のラプンツェル』や『アナと雪の女王』といった比較的新しい作品から楽曲を抜粋し、一つのコンサートとして仕上がるように構成しました。
この企画の立ち上げの経緯を話すためには、やはり新型コロナウイルスと団の活動休止について触れないといけないですね。
団の休止が企画の立ち上げに関係しているのでしょうか。
ーそうですね。今回の企画は、活動休止中に打ち出した新しい方針によって生まれました。
初公演の反省と活動休止、新生 Orchestra Mµsicart に向けた一つの方針
ーまず、少し前の話になりますが、2019年に行ったOrchestra Mµsicart 光と魔法のコンサート in 森のホール21 は、正直ギリギリの結果だったと今は思っています。勿論、設立・運営のノウハウが中々ない中でのスタートとしては、及第点だったかと思いますが、もっとこうできたと思うことが沢山あります。
その中でも、団員が主体的に何かできることが少なかったということが引っかかっており、その結果が退団者の数に表れていたのかなと思っています。もう少し、団員が企画に参加することができれば、変わっていたのかもしれません。
2020年に入っても最初は活動していましたが、その辺は反映されていたのでしょうか。
ー企画に関しては、団員の意見を聞いての採用になりましたが、結構見切り発車になってしまった部分もあるかと思います。
結局、2020年2月には新型コロナウイルスの感染防止の観点から活動の無期限休止を決定しました。3月くらいまでギリギリ演奏会をやっている団も多かったと思いますが、当団は早めに休止の判断ができたかと思います。
確かに活動休止は残念ですが、今考えるとそのまま活動していてもいい演奏はできなかっただろうなと思います。
活動休止中はどんなことをやっていたのでしょうか。
ーオンラインでもできること、ということで色々挑戦はしてみました。あまりしっくりこない部分もありましたが、それでも完全に停止するのではなく、団としての存在は残そうという意志が団員から感じられました。自分には団を畳むという考えもありましたが、意外とみんなは前向きだったので、なんとか繋いでこられたのかなと。
大きな転換点は、2020年の末くらいです。突然、企画自体も団員にプレゼンしてもらい、そこから決めるのはどうかなと思いました。残ってくれた団員の意志を尊重できる方法だなと思ったので、代表に提案してみました。
そこで生まれたのが、Bon Voyage! ということですか。
ーそうです。団員が出した企画の一つが Bon Voyage! の原型でした。最初聞いた時は、ディズニーは権利関係も難しく、物語と組み合わせるのも難しいだろうと思いました。
自分が予想した結果とは大きく異なり、団員は Bon Voyage! の原型の企画を支持する意見が大きく、通ってしまったんですね。
まさかの結果といったところでしょうか。
ーまさにそうですね。でも、団員発の企画を採用すると言ってしまった手前、撤回はできないので、なんとか形にするしかないなと思いました。
制作開始、さまざまな仕掛け
そこで、早速制作に取り掛かるんですね。
ーまずは、オケとしても立て直さないといけなかったので、組織図の見直しや仕事の分担など運営の部分を代表と話しました。企画に関しても、楽曲はお客さんが知っているものにした方がいいと思ったので、プレゼン時に挙げてもらったものからは少し変更しました。
コンセプトを活かしつつ、楽曲によって統一感を持たせるような構成をこの辺りで決定しました。
この段階で既に4つの作品と、4つの景色(旅先)については決まっています。イメージは人を惹きつけるので、早い段階で欲しいとお願いしました。
Orchestra Mµsicart の魅力の一つはこのイメージにありますよね。
ーこれは本当に毎回デザイナーに感謝しています。イメージアートがあることで、他のオケとの差別化ができている部分もあるので。
曲が決まった後は構成を固めて、どこで物語を入れるのかということを先に決定しました。この頃はまだ物語は完成していなかったので、どれくらいの長さで作ればいいのか、手探り状態でしたね。
物語はどれくらいのタイミングでできたのでしょうか。
ーそうですね、物語は代表を中心に執筆を進めてもらったのですが、夏頃には初稿が上がり、9月手前くらいまでに完成につなげていきました。既に練習が始まっていたので、団員はなんだかよく分からないところを練習しているという感覚があったかと思います。
この頃には、コンサートロゴも更新されていますよね。
ーそうですね。船旅をテーマにするということ、Bon Voyage! というタイトルが決定していたので、それにあったものを用意してもらいました。この頃に並行してお願いしていたのが、プログラムの仕掛けについてです。
プログラムの仕掛けというと。
ー今回のコンサートでは、一般的なプログラム冊子ではなく、地図のような見開きのパンフレットにしようというアイデアがあったので、それにあったデザインと、物語に連動するような仕掛けを考えてほしいという依頼をしました。
ネタバレにはなってしまいますが、その仕掛けは、チケットをプログラムの上に乗せると航路が新たに現れるといったもので、これが物語と連動するようになっていました。
プログラムにもそんな仕掛けがあったんですね。
ーそうなんです。これも団員からのアイデアが形になったものの一つですね。
後はいよいよ、ナレーターや歌手、ピアニストを迎えての練習を行い、本番に向けて準備を進めていきました。
やはりナレーターの方に実際に物語を読んでもらったり、歌やピアノのソロが入ったりすると全体のクオリティが凄く上がった感じはありますね。団員からも好評価を頂き、楽しいという声を凄くもらいました。
そしていよいよ本番ですね。
ーそうですね。本番は大きな事故もなく、映像・照明との連携もうまく取れていたので、良かったと思います。この辺は、Youtubeにも少し動画が上がっているので、見ていただければと思います。
これからの Orchestra Mµsicart
凄く長い道のりだったかと思いますが、振り返ってみてどうですか。
ー実際、1年以上制作にかかっているので、大変だったなという思いはあります。特に曲はディズニー楽曲の編曲から、オリジナルの作曲まで全部担当したので、かなり大変でした。しかし、それ以上に団員が積極的に制作に携わってくれたり、楽しんでくれたりしたので、喜びの方が大きいですね。まだまだ、問題点はありますが、初公演の時のような失敗はしていないのかなと思います。着実な進歩ですね。
これから先の Orchestra Mµsicart はどうなるのでしょうか。
ーそうですね。これからもっと色々なことに挑戦できるオケでありたいなとは思っています。団員から沢山アイデアをもらうことができるので、それをより面白く形にしていければと思います。
次回の企画については、別途またどこかでご紹介できればと思います。
本日はありがとうございました。
ーこちらこそありがとうございました。また近々情報を発信したいと思います!